【売約済】ムター・ベルリン・リサイタル／美しい夕暮れ

『ベルリン・リサイタル』
①ブラームス:《F.A.E.ソナタ》からスケルツォ ハ短調
②ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
③モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第28番ホ短調 K.304(K.300c)
④フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
⑤ブラームス:ハンガリー舞曲 第2番 イ短調
⑥ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番 ト短調
⑦ドビュッシー:美しい夕暮れ

アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ランバート・オーキス(ピアノ)
録音：1995年9月 ベルリン〈ライヴ・レコーディング〉

ムターらしく濃厚、グラマー、ロマンティックな演奏です。聴きものは、フランクとモーツァルトのソナタですが、２曲ともテンポが遅く、悲しみを宿した演奏になっています。それもそのはずで、夫の死の１ヶ月後のリサイタルとのこと。モーツァルトの第28番のソナタは、名盤の誉れ高いグリュミオー／ハスキル盤の対極を行く演奏で、暗く病的な雰囲気をにじませた演奏です。この曲はモーツァルトが母の死の予感を感じながら書いた事で良く知られており、その不安が重く演奏全体に覆いかぶさっている印象です。こんなに悲しく沈む演奏は、モーツァルトらしくないと思われるかもしれません。フランクもレクイエムの様な演奏で、夫へのはなむけともとれます。所々で慟哭の如きクレシェンドを見せますが全体には沈鬱な表現で、終楽章でようやく力を取り戻します。この曲にフランス的な香りを期待する人には向かないかもしれませんが、感動の量は半端ありません。もちろん、ドビュッシーとブラームスも同様のすばらしさです。夜に聴くべき演奏、素晴らしい一夜をあなたに。

国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷なし　7

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